コラム

新型コロナウイルス感染症“COVID-19”について

私は感染の専門家でも呼吸器の専門医でもないので、今まで新型コロナ感染症については何も発信してきませんでした。しかし、2/29仙台で感染者が確認され、いよいよ身近になってしまったので、ちょっとまとめてみました。

 

新型コロナウイルス感染症“COVID-19”とは、新型コロナウイルス“2019-nCoV(Novel Coronavirus)”が原因とされている感染症のことです。2019年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で世界に広まりました。

 

2/29現在で、中国での感染者は79000人以上、死亡者も2800人以上となっています。中国以外で感染者が確認された国は50ヶ国以上に及び、全世界での感染者は85000人を越えました。もはやパンデミックといえるでしょう(WHOは2/28時点で、未だパンデミックではないとしていますが)。

 

一方日本での感染者は227人(クルーズ船:705人含まず)まで増加しています。感染経路もはっきりしない例が多く、武漢や中国帰りといったキーワードは我々一般臨床医としては意味を持たないものになりつつあります。

 

 

◆新型コロナウイルス感染症“COVID-19”で分かっていること

 

・感染様式は飛沫感染と接触感染(感染者の飛沫や体液が付着しているものに接触し、その手から口や鼻などを通して感染する)が主だが、閉鎖空間においては必ずしも飛沫が届く範囲にいなくても感染が成立する(エアロゾル感染)の危険性があります。また、便中にもウイルスが存在する可能性があり、SARSのように便-口感染が起こることが示唆されています。

 

・感染しても症状の出ない人、不顕性感染(無症候感染)者がいます。

 

・潜伏期間は2~14日間程度と考えられています。

 

・潜伏期間でも感染力がある可能性が高いと思われています。無症候性感染者も同様です。潜伏期~軽症の時間が長く、日常生活を送ってしまい、周囲にウイルスを拡げてしまっています。

 

・発症後に軽症状期(倦怠感・微熱・かぜ様症状)が7日間ほど続いた後、重症期(高熱・呼吸障害など)に至ると考えられています。軽症のまま軽快する症例もあります。

 

・特効薬はなく対症療法のみ。AIDS治療薬や抗インフルエンザ薬、他の抗ウイルス薬などが試験的に投与され、その効果が期待されています。

 

・高齢者や持病のある方がCOVID-19に罹ると重症化しやすいと考えられていますが、これはインフルエンザや一般の風邪と同様です。

 

・2/26、一番恐れていたことが発覚しました。軽症で一度軽快に至った患者さんが、再燃?により再び病状が悪化し、再陽性となった事が報道されました(大阪の中国人ツアーガイド40歳女性。武漢からのツアーでバス運転手と同時に罹患した方です)。

 

 

◆新型コロナウイルス感染症“COVID-19”に対する当院の対応

 

ついに宮城県内に新型コロナウイルス感染症に罹患した人が確認されました。その方の居住地や行動歴は明らかになっていませんので、今後風邪症状が出た患者さんは自らが新型コロナウイルスに感染したのではないかとの不安が強くなると思われます。

 

・当院では新型コロナウイルス感染症“COVID-19”の診断は困難です。感染が心配な方についてはお電話をいただければ、アドバイスや適切な窓口をご紹介することなどができるかもしれません。直接来院されず、まずはお電話いただけると幸いです。

 

・熱や風邪症状のある方は、他の患者様との接触を避けるため、動線を変更します。入口を変えて診察も別な場所で行う予定です。しかし、専用の個別待合室などはないので診察までお車でお待ちいただく事になります。来院前にご連絡いただくと幸いです。

 

・一般の患者様も、待合室や物療室でのマスク着用を推奨いたします。マスクをお持ちでない方はお譲りいたしますので、受付にお声をおかけください。また、アルコールの手指消毒液も準備しておりますのでご利用ください。

 

◆参考

『新型コロナウイルスを防ぐには』厚生省ホームページより

◇ 一般電話相談窓口(コールセンター)宮城県・仙台市共通

  電話:022-211-3883(24時間受付対応)

 ※宮城県は「帰国者・接触者相談センター」「帰国者・接触者外来(16施設)」は非公表です。

◇厚生労働省相談窓口受付時間 9:00~21:00(土日・祝日も実施)

  電話: 0120-565653(フリ―ダイヤル)

  FAX :03-3595-2756

◇東北医科薬科大学 特任教授 賀来満夫 先生 監修

『新型コロナウイルス感染症_市民向けハンドブック』東北医科薬科大学HP

 

新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安(厚生労働省 令和2年2月17日)

1.相談・受診の前に心がけていただきたいこと

○ 発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。

○ 発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく。

2.帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安

○ 以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。

・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方

(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)

・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方

○ なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合には、

帰国者・接触者相談センターに御相談ください。

・ 高齢者

・ 糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方

・ 免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方

(妊婦の方へ)

  妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談

センターに御相談ください。

(お子様をお持ちの方へ)

小児については、現時点で重症化しやすいとの報告はなく、新型コロナウイルス感染症に

ついては、目安どおりの対応をお願いします。

○ なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、

インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。

3.相談後、医療機関にかかるときのお願い

○ 帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。

複数の医療機関を受診することはお控えください。

○ 医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット (咳やくしゃみ

をする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、 口や鼻をおさえる)の徹底を

お願いします。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000597518.pdf