熱中症
『熱中症とは』
梅雨明け以降、とても暑い日が続いています。今年も熱中症の患者さんが増えてくることが予測されます。熱中症とは、高温環境下などで、体温の上昇や発汗による体内の水分や塩分減少により引き起こされる障害の総称です。
死に至る可能性のある病態ですが、適切な予防法や対処法を知ってそれを実践することで防ぐことができ、たとえ熱中症になったとしても重症化を回避し後遺症を軽減することができます。
『熱中症はどのようにして起こるのか』
外気温が高くなると熱を逃しにくくなります。汗は蒸発する時に体から熱を奪います。高温時は熱放散が小さくなり、主に汗の蒸発 による気化熱が体温を下げる働きをしています。汗をかくと水分や塩分が体外に出てしまうために、体内 の水分・塩分が不足し、血液の流れが悪くなるので、適切な水分・塩分の補給が重要になってきます。
『熱中症の症状(重症度と対応)』
熱中症では、脱水・循環不全や体温の上昇、電解質の異常などから、倦怠感や筋肉のけいれん、嘔吐など多彩な症状が出てきます。さらに進むと意識障害などの中枢神経症状や肝障害・腎障害などが出現し多臓器不全に至ることもあります。
Ⅰ度の症状があれば、すぐに涼しい場所へ移し体を冷やすこと、水分を与えることが必要です。そして誰かがそばに付き添って見守り、改善しない場合や悪化する場合には病院へ搬送します。Ⅱ度で水分・塩分を摂れないときやⅢ度の症状であればすぐに病院へ搬送します。
『暑さ指数 WBGTとは』
暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい「気温」「湿度」 「 輻射熱 (ふくしゃねつ)」の3つを取り入れた温度の指標です。
WBGTでは気温・湿度・輻射熱を1:7:2の比率で反映させています。気温よりも湿度を7倍重視しているということです。湿度が高くなると熱放散効率が下がり熱中症のリスクが増大します。単位は気温と同じ℃を用います。WBGTが28℃を越えると熱中症の発生リスクが高まるといわれます。
環境省 熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php)で全国各地点での暑さ指数(WBGT)の予測値と現在の暑さ指数の推計値(実況推定値)を知ることができます。熱中症対策に役立ててください。
※熱中症警戒アラート
令和2年7月1日より関東甲信地方で試行されています。翌日又は当日の暑さ指数(WBGT)が33℃以上になることが予想される場合に、環境省と気象庁が共同で「熱中症警戒アラート(試行)」を発表し、熱中症への警戒を呼びかけます。
『最後に』
熱中症の症状は新型コロナウイルス感染症との鑑別が難しくなるケースが予測されます。繰り返しますが熱中症は予防ができる病態です。
・水分を十分にとりましょう。こまめに摂取することが大切です。
・熱いところに長くとどまらず、涼しいところに避難しましょう。
・十分な休息を取りましょう。
・自力で水分が取れなくなったら医療機関を受診しましょう。
・意識状態が悪くなったら救急車要請を検討してください。